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AIとカウンセリング

私が生成AI(ChatGPTなど)を利用し始めてからすでに2年半が経つ(2025年9月時点)。一般的にはかなり長い部類に入るのではないだろうかと思っている。

最近ではクライエントさんにもChatGPTにも相談しているという人がちらほらチラホラおられる。私に気を使ってそれを口にしない人もいるかもしれないと思うと、かなりの割合の人が相談に使っているのではないかと思う。

生成AIの優秀なところはたくさんある。知識はもちろんだが、もっと驚くのはその言語化能力である。こちらが片手間に打ち込んだつたない日本語を即座に言いたかった表現に変換してくれる。自分で質問を読み返してみて「これ、伝わるかな」と思うような表現でもピッタリとした日本語で「こういうことですね?」とまとめ上げて打ち返してくれる。

相手の言葉をまとめ上げるのは我々カウンセラーも磨かなければならない技術であるが、「もうこれはかなわないな」と思うことがよくある。それも、「排水口の詰まり」などといった具体的な質問から、哲学に関する質問まであっという間に「意を汲んで」くれるのである。そしてもちろんその質問に答えてくれる。

AIに悩みを相談するということは、他人の目を気にしないで相談できるという意味でハードルは低いし、意を汲んでくれる能力も優秀でそれだけでも相談する価値があると思える。

ここでAIに相談する場合の特徴を挙げてみる。
・いつでも相談できる。
・ハードルが低い。
・料金が安い(もしくは無料)
・相手にどう思われるかを気にしなくても良い。
・言語能力が非常に高い。
・知識量が膨大である。

もちろん、現時点では文字、もしくは音声内容だけのやり取りに限られてはいる。私達のコミュニケーションは声の大きさや表情や沈黙、姿勢や視線の動きといった様々なチャンネルがある。しかし、「日進月歩」という言葉さえ生ぬるいほどの進歩が起きている分野である。そうしたセンサーもいずれAIは使えるようになるのかもしれない。

その一方で当分の間は変わらないだろうと思う部分もある。

一つは、入力があったときだけ出力するという形式であり、質問に対して回答を打ち返したらそこで終わり、人間側が働きかけるまでは全く動かなくなるという仕組みである。音声チャットの場合は一定時間の沈黙があると「何でも訊いてくださいね」といった決まり文句が入るが、それだけである。基本的に外部の刺激がなければ反応しない。これはメリットでもありデメリットでもある。AIは自発的に動くということが無いのである。

したがって「待つ」ということもない。機能を停止するだけである。その意味で永遠に待ってくれるとも言える一方、「一緒にいる」とか「時間を共有する」ということもない。そして人間同士のカウンセリングにおいて「沈黙」として共有される時間が意味深いことが多いことを考えると大きな違いである。

変わらないだろうと思う部分の2つ目。

AIは常に情報を統合して答えを出すように設計されるだろうということだ。全体の流れとはかけ離れた情報は、人間の場合「違和感」として別個に持ち続けるが、AIの中では一つの鍋の中に入れられて平均化され、薄められてしまう。そしてそこで出来上がった一つの矛盾のない認識体系を前提に答えが導き出される。

3つ目。質問には必ず答えるということだ。

しかし、「悩み」と言いたくなるような問題は大抵の場合、その答えはAIにも(人間のカウンセラーにも)すぐに分かるものではないし、仮にわかったとしてもそれを言ってどうなるものでもない。このあたりは「タコピーの原罪」でタコピーがシズカちゃんに「どうすればよかったの?」と問われ「ボクには難しくてわからないっピ」と答えるのが物語の転機(の一部)になっているという形でうまく表現されていると思う。

※「タコピーの原罪」は非常に刺激の強い作品なのでご覧になるかどうかの判断はくれぐれも慎重になさってください。私自身は、とある事情があって見始めましたが、途中で後悔しました。

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